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ご訪問ありがとうございます。

更新が止まったかと思えば何事もなかったかのように更新されるブログです。
ゲームしたり愚痴ったりイラストを描いてみたり様々です。
ぼんやりのんびり進んでいきますので、「更新されてるかわからないけど覗いてみるか~」なんて感覚で読んでみるといいかもしれません。

ではでは、のんびりしてってくださいまし~♪
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St.xx-「雨降る心」

 小さな、私。
 私は、私の他にも、ふたりいる。
 雨音。心音。雨のように緩急の激しい僕と、暖かい心を持っていたいわたし。
 まるで違う私達を、誰も、私自身でさえ受け入れられなかった。
 弾き出された小さな“もうふたり”は、共鳴してしまったのでした。
 それがはじまり。終わりを捜すはじまり。

 『たすけて』
 聞こえた声に手を伸ばす。
 小さな淀みが形を変えて、少女をかたち創る。
「あなたはだあれ?」
主によく似た、優しさのこもる声。
 心音は、少女を甲斐甲斐しく抱きかかえる。
 僕は、どうしようかと迷う。
 私達の主は、弱くて、人を信じなかった。そのくせ、助けたいなんてぬかす馬鹿だ。僕はそんな主が嫌いだ。罵声を心の中から浴びせたこともある。
 当然ながら、主からは弾き出され、彼女の意識の届かない場所へ転移する羽目になった。
『僕も僕で、同じような馬鹿じゃないか』
小さく独りごちて、そっと目の前に主の記憶から探りながら家を描く。
 私達は、主から生まれた[狂人格]だ。二重人格と違って、記憶を共有し合い、決して面に単独で出ることのない、第2、第3の人格。
 人としての生はなく、元となった「主」のこれまでの経験や記憶、知識をそのまま受け継ぐ。ただし、それをどう受け取るかは個々の性質によって違ってくる……らしい。
 主も突然自覚した違う自分に困惑し、調べ、私達もそれを共有して知ったことだ。
 [狂人格]が単独で存在していられるのは、主の心の中だけ。心の中でしか実体は持てないし、性格も主と混ざった状態でしか現れることはできない。
 その代わり、主よりも心を様々に使うことができる。心の中でなら魔法だとか呼ばれることさえできる。何せ全て“主の妄想”で終わるのだから。
 そうしてできた家に、少女を住まわせて生活する。最低限のことも含めて何も知らぬ少女に、私達は様々なことを教えながら過ごしていた。
 そうした中で、また声を聞き、淀みをこちらに引き寄せる。
 今度は少年だ。
 同じように繰り返し、最初も含めて6回目。
 猫だ。しかも2匹。何言ってるのかさっぱりわからない。でも、星を見ながら眠るちいさな2匹は……どことなく言葉に出るように美しかった。とりあえず人になる、なんて妄想を繰り広げてみる。
 視界が消え失せた。

 『…んん』
「雨音!」
心音?
「びっくりした……突然何も言わなくなって、半年も経ったの」
『半年……!?』
「ええ、私もあの子達に付き添えなくなってしまったの」
『それはすまないことを……、僕、声が出ていないのか?』
「ええ、<コネクト>で聞いているわ」
『……そうだ、僕は猫に妄想をかけて』
「あの仔達は猫耳と尻尾が生えたヒトの姿で生活しているの」
『……!不完全だったのか』
「…しかも、皆の前で変身したわ」
僕は絶句する。
「でもね、皆、自分たちが死んだはずなのにここで生活してるんだから、こういうこともあるよねって言って……」
能天気だなぁ…。
「あのね雨音」
『ん?』
「大切な話があるの」

 雨音が、主さまのような苦しみを持つ、死ぬはずの子達を連れてくるようになった。
 それから暫くして、雨音は何も言わなくなり、徐々に消えていくようになった。
 必死に呼んで、半年してようやく目を覚ました彼女は、声も出なくなっていた。
 それだけじゃない。雨音が透けていくのと同時に、7人の少年少女の元へ行くことができなくなった。
 どうしてなのか考えている中で、わたしも透けていることに気がついた。
 私達が消える。それはつまり。

 『主が心を閉ざしそうになっているのか』
「…或いは、死ぬ寸前なのかもしれない」
そして主さまが死ぬということは、あの子達の居場所もなくなるということ。
『心を閉ざしてもあの子達も消えるだろうな』
心を閉ざすということは、自分以外は認めないということでもある。
そんなことをしていれば、心の中にいる”自分“以外は全て消える。

 少しずつ閉ざされゆく扉に、抗う術はない。
『…心音』
「ええ」

 ”声“が聞こえる。聞こえない、と拒絶したはずの声。
その必死の叫びに、全てを知った。
 けれど、もう遅い。私は、もう、閉ざしかけた心を開く余力を持ち合わせていない。

 「『せめてその子達だけでも元どおりの世界へ』。これが主さまからの答えよ」
『……ああ、行けるみたいだな。行こう、時間はそんなにないはずだ』

 「だったら、僕達は死んでないの?」
驚く皆を眺めながら、レイが呟く。
「そうなるわ」
僕の分も代弁しながら話す心音。赤いリボンが悲痛に染まって見えるのは、きっとここに来るまでの間つらそうだった彼女が、必死に泣かないようにしているからだろう。
「……でも、変わらないんだろ?俺達の死ぬ運命は」
涼和。とてもつらそうな表情。
「私達にもわからないけれど、時系列は少しずれると思うの。あなた達の絶望を糧にして、精神が破綻する少し前の感情を、淀みとしてここに連れてきたから」
「……それなら、変えられるかもしれないのか?」
何よりも変えたいと願う陸瀬だからこそ、こう言うのだろう。
「わからないけれど、可能性はあるわ」
「……たとえ変えられなくても、私達は得るものがあると思う」
二度と傷つけたくない、と想いの滲む瞳の梨伊花。
「おかあさん、いなくならない?」
ルナはいまだに、知らずにいる。
「それもわからないけれど、きっとあなた達次第」
「あたしは、戻りたい」
たった一言、涼架ははっきりと告げて複雑な顔をしていた。
「……戻ろう」
哀しそうな、でも微笑むような、そんな理夢那。

『決まったな』
「……ええ、主さま」
……ごめんなさい、私のせいで迷惑をかけました。さよなら、どうかここでの想いと、貴方達の暖かい決意を忘れないで。

 幸せが訪れますように。心底祈る。私の<妄想> が終わる刹那。
「……理夢那」
「…なあに?」
「強がっただろ。……必ず、今度こそ助ける。それまでは何が何でも死ぬな」
「……」
小さく頷いた。
「これで良いのよ。弟さんの想いに、応えてあげてね?」
「大丈夫だ。お前のことだって、何も変わらなくても想いはあいつらが伝えてくれる」
視線の先に見える、二匹の仔猫。
「ルナ、レイ、また会おうね」
「うん!やくそく!」
「……膝で寝ていい?」
「いいよ!ルナもいっしょね!」
弾けそうな笑顔には、そこ知れぬ強さがあった。

 消えていく中でも、想い合う。そんな暖かさに、何かを感じた。

 静かな場所に、ひっそり建つロッジ。
左手の薬指を光らせて、ふたりは立っている。
「知らなかったよ。君が大の猫好きで、SNSで仲間がいたなんて」
「ふふ、貴方が知ったら嫉妬するかしら、と思って言わなかったのよ」
「…そう。それで、僕を苦笑させた可愛い女の子はあの子?」
「…!りり!久しくしてたわね!」
「りぃ姉〜〜!久しぶり!」
「ルナもレイも元気そうで何よりだわ」
「うん!さおりちゃんに手伝ってもらってさがしたの!」
青年は、苦笑から変わって穏やかな笑みを浮かべる。
「きゃああっ」
「おっ……と」
転びそうな幼い少女を抱きかかえ、視線に気づく。
「大丈夫ですか?それと、彼は……」
「だ、いじょうぶ、です!ありがとです!」
つたなくあたふたしながら少女は離れ、
「りょうくん、こっちこっち!」
と、青年をちょっと(と本人は思っているが、青年は後に『殺すつもりかと思ったよ』と語る)睨み、呆れた顔をしている少年を引きずっていく。
「兄さん、紹介したい人って誰?もしかして恋人?」
と目を輝かす弟に、
「お、オレはそんなの縁ないから!なんていうか…親友みたいなもんだよ!」
と慌てた様子で弁明しながら急ぐ少年。

 遠くからそっと眺める少女。
青年は、
「貴女も…?」
と、幼少から恋い焦がれた新妻と、周りに笑顔を咲かせる少年少女を手で示す。
「……!」
少女は戸惑い、躊躇っていたが、
「にゃーお」
足元の黒猫に目を惹かれ、
「「「「「あ!」」」」」
見覚えのある雰囲気に声を上げた5人に連れられ、そのうちにぎこちなく花を咲かせ始めた。
「にゃ、にゃっ!」
白猫に懐かれて、嬉しそうに笑う少女。
 その隣で、病気が治せると知った時よりもずっと輝く表情を見せる妻に愛おしさを覚えながら、青年はその輪へと加わっていった。

「その猫ちゃん達、僕にもなでさせてくれないか」

✱✱✱✱✱St.xx -fin. and more✱✱✱✱✱

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St.6 with 7-「戻らないじかん」

 ――おかあさん、僕たちはここにいるよ。

 ふしぎな感覚。あたしも、レイも、りりちゃんやおねえちゃんやりくくんとおんなじ、人の手があって、人のあしがあるの。
 隣で、不思議そうに自分と僕を眺めるルナ。いつも通りの何もなさげな澄んだ目を見て、安心して眠る。
 眠いんだ。何も感じたくない。疲れてしまった。
 目を開けて、少しこっちを見てまた眠るレイ。前はこんなじゃなかったのになぁ。疲れちゃった、って倒れてからはずっとこう。あの時は、ふたり…にひき?でおほしさまを眺めながら眠って、気がついたらりりちゃんとりゆちゃんとおねえちゃんがあたしたちをなでなでしてくれてた。

 夢を見る。おかあさんの夢だ。血が繋がってるんじゃないけど、飼い主のことを「おかあさん」って呼ぶらしいから、僕たちもおかあさんって呼んだんだ。
 おかあさんは優しくて、保健所で生まれた僕たちを引き取ってくれた。
『あなたたちはふたりで生き残ったんだね。それなら離れ離れになんてさせられない』
と言って、僕とルナをぎゅっと抱きしめた。
 暖かくって、僕もルナも寝るときはいつもおかあさんに抱っこしてもらいながら眠った。
 おかあさんはときどき、遠い場所を見るような目で写真を見ていた。桜が舞って、おかあさんともうひとり、誰かが笑う写真。にじんでいて、もう一人はよく見えなかったけど、大切な人だとわかっていたから、僕たちはそういうとき、おかあさんにたくさん甘えた。
 『おかあさん、僕たちがいるよ。だいすきだよ』
そう伝えるように、寄り添った。
 おかあさんは、僕たちにお星様をみせるのがすきだった。
『本当は、一緒にこの空を見たい人がいるんだ。でも、もう遠い場所にいるから』
そう言って、僕たちを抱きしめた。
 かすかに、
『……もしかしたら、思い出してたのかな』
そう聞こえた。

 ある日、おかあさんはあたしたちを置いたまま出かけて、帰ってこなかった。
 どれくらい待っても、おかあさんの足音はしなかった。
 しばらくして、騒がしくなって、箱に入るように言われて、箱に入ったままお散歩に出た。途中で、「ごめんね」と言われて、道にあたしたちを入れたまま、その箱を置いていった。少し木の香りがする箱は、居心地が良かったけれど、おかあさんがいなくてさみしかった。
 しばらくして、レイもさみしそうな顔をしているのがわかって、あたしたちはおかあさんを探しに行った。
 たくさん歩いて、いろんなところに行って、いろんなものを見て。
 楽しくて、早くおかあさんに教えてあげたかった。
 レイはだんだん悲しそうな顔をするようになった。理由をきいたら、
「ルナ、もうやめよう」
としか言わなかった。
 あたしはどうして、と思った。そこからけんかすることもあった。でも、一度箱があったところに帰ったけれど、箱も暖かい毛布もなくなっていて、おかあさんを探すしかなくなった。
 いろんなきれいなものを見て、最後はレイが教えてくれた。
 「……ルナ、あっちの方に歩くときれいなおほしさまが見えるところがあるって」
いっしょに、たくさん歩いた。たくさん歩いて、つかれて立ちどまると、レイが
「もう少しだから」
と声をかけてくれた。それがなんだかうれしくて、もう一回がんばって歩いた。

 旅に出てすぐ、僕は知ってしまった。
 おかあさんは、死んだのだ。道行く人たちが、
「あそこのご子息、亡くなったんですってね」
「良い人だったのに…婚約者を亡くされてからは落ち込んでいらしたけれど、少しずつ回復していると聞いていたのに」
と口々に話していた。
 もう会うことのないおかあさんを探し続けるルナが可哀想とさえ思えて、僕はもうやめよう、と言ったりもした。
 喧嘩になったけど、言ってもルナにはわからなさそうで、わかっても傷つけて、黙っていたことへの罪悪感にかられる。だから、言えなかった。
 そんなとき、
「そういえばもうそろそろ流星群ねぇ。たしかお二人ともご健在だったら岬で流星群を眺めながらのお式になるはずだったのよね」
「なら、ちょうど明日なんじゃないか?そんな日に四十九日とは何の因果かねえ」
という話を聞いた。
 おかあさんの思い出になるはずだった場所。行かなきゃならない気がして、周囲を見渡す。「東雲岬はこちら」という看板を見つける。たしかあの字が「みさき」だったはず。
 ルナを誘って、必死に歩いた。どうしても、おかあさんが見るはずだった流星群を見たかった。

 がけについた。一緒に夜空を見上げる。
「……おほしさまがふってる」
「流れ星だよ」
「うん、お願いをさんかい言うとかなうんだよね」
「……うん」
何を願うかなんてわかっている。決して叶わない。
「おかあさんが、しあわせでいますように、おかあさんが、しあわせでいますように、おかあさんが、しあわせでいますように」
少し驚いた。
「もう、会えないんだよね?わからないけど、レイの顔、そう言ってるもん」
「……」
「だから、おかあさんがしあわせでいたら、うれしいから」
「…そう、だね」
「えへ」
急に世界が眩む。
「……眠い」
「レイ?」
「疲れ、た……」
レイが寝息をたてる。
寒いから、くっついていっしょに寝る。
 『――美しいな』
声が聞こえた気がした。

 目が覚めたら、あったかい、おかあさんの感じがした。
 「あら、お目覚めね?りょう、ミルクは温まった?」
「ああ。ほら、来いよ白黒猫」
「りょうくんだめだよそんな呼び方」
「…」
感覚が違う。隣を見ると、ルナが混乱した顔でこっちを――
「……ルナ、お前」
「レイも」
おかあさんのことばだ!
 びっくりして、固まる。
「ねえねえ、ふたりともどうして猫の格好してるの?」
幼い感じの女の子がきいてくる。
「あ、あたしたちは猫だよ?」
ルナが混乱したまま事実を答える。
「……え」

 しばらく、全員が混乱しきっていた。

 「きっとそういうこともあるんだよ!」
たったその一言で、全員が納得してしまった。
 りゆはある意味ですごい気がする。
 それからはずーっと人になったり猫に戻ったりを練習したり、うたってるときにあたしたちのことばでうたってみたり。
 いろんなことが起きて、たくさんのことを知って。
 その中で想うのはひとつだけ。

 「「いつかおかあさんに会えたら、このお話をしよう」」

✱✱✱✱✱St.xxへ続く✱✱✱✱✱

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St.5-「孤独の花」

 綾(りょう)、どうしてお前はオレを置いていったんだ――?

 オレは、はっきり言って出来損ない。弟の方がよほどできた奴だ。
 昔からあいつの方が頭良くて、オレが逆に教えられるくらいだった。
 それだけじゃない。あいつは本当に優しくて、慕われた。裏表もない、平等な奴。ドジなところはあっても、それを笑いながら影で努力をするところも、あいつらしかった。
 自慢の弟だった。そんな自慢の弟がたまに見せる困り顔も、オレにしか話せないことがある、なんて言ってくるのも兄として嬉しかった。
 オレ達の親は、何処にいるのかさっぱりわからない。ばあちゃんが言うには、俺が2歳、綾が生まれて1ヶ月の時に事故に遭って死んだらしい。
 ばあちゃんは、貯金を崩してオレ達を育てた。だけど、生活は苦しくなる一方。オレはすぐに決心をした。
 綾はオレなんかよりよほどいろんなことを学んでいける。身につけてくれる。恩返しなんていらない。
「……綾、オレは働くよ」
「兄さん!?なんで…僕のため?どうして」
「オレよりもお前の方が人として育っていける。だからオレにせめて手助けをさせてくれ」
「兄さん…!」
それだけはだめだ、と言い張るできた弟を、「オレも定時制の高校に通うから」と言い伏せた。
 そうして程なくして、ばあちゃんが亡くなった。オレも綾も泣き通した。綾が、
「兄さん……僕、おばあちゃんの期待に応えなきゃ」
と、無理やり笑っていたのを今でも思い出す。
 オレ達は、ばあちゃんから『人を思いやれる人になりなさい。そのための努力が幸せだと思える人生にしなさい』と言われて育った。綾は、それに応えようと必死だった。
 オレも綾の頑張りに応えるために、朝早く起きて二人分の弁当を作って学校に行き、授業を終えてからの移動時間は作った弁当を食べ、そこから夜遅くまで働いた。休憩時間は勉強に充てた。
 そうして帰った深夜、日付が変わってだいぶ経った頃に、綾が必死に勉強する姿を眺め、お茶と軽食を渡してから眠った。
 そんな二人三脚の生活が続き、綾が難関の志望校に合格した時は二人で大喜びした。その時に綾が作ってくれたケーキの味と、手紙に書かれた言葉と、あの光景は忘れられないままいる。
 帰った時、珍しく電気が消えていた。もう寝てしまったのかと不思議に思いながら居間に鞄を置きにいくととたんにクラッカーの音がした。
「兄さん!だいぶ遅くなったけど、誕生日おめでとう!」
電気をつけてこちらに向かってくる綾の笑顔は、今までに見たこともないくらい輝いていた。
「……!お前、オレの誕生日何ヶ月前だと思ってるんだよ!」
嬉しさのあまり、綾を抱きしめた。照れ臭そうに笑う綾を見て、嬉しくてたまらなかった。
 その後に、合格したことを聞き、
「やったな!!よし!小遣いをやるから好きなものを買えよ!」
とポケットを探った。
 …が、財布がない。そういえば、休憩中にコンビニにクルミを買いに行った後、職場の机の上に置きっ放しだった。
 「……綾、ちょっと待っててな。財布職場に忘れてきたから取ってくるわ」
職場を家の近くにしてよかった、と心から思った瞬間だった。
 何か言いたげな綾を残して、オレは職場へと走った。
 そして財布を持って職場を出た時、雨が降り出した。オレは構わず走った。小さな花が揺れた。そしてその先で見たのは、歩く女性に向かってナイフを持って走っていく男と、構わず間に入っていく傘を2本持った弟だった。オレは走る足を必死に速めた。だが、すんでのところで間に合わない。
 綾は華奢な身体を赤く染めながら崩れ落ち、オレは綾が何かを呟くのを見、犯人を投げ飛ばし、そばにいる女性に助けを求めた。
 女性は混乱しながらも通報してくれ、犯人は捕まり、弟は搬送され、女性は警察に保護された。オレは弟につきっきりで一晩を過ごし、明け方。
 小さく綾の口が動く。
「にい、さん」
呼吸器越しの、弱々しい声。だけど、意志が通っている。
泣きそうな顔のオレに、できた弟は、
「…ごめ、ん」
そう呟いて、目を閉じた。本当に、最期までできた奴だった。
 オレは、生きる意味全てを失ったようで、働いていても学校にいても――家に帰っても、抜け殻のようだった。食べる気も飲む気もしない。何もしたくなかった。
 そのうちに、居間の本棚の上に見慣れない封筒があるのを見つけた。
 開けると、
『兄さんへ』
弟の字があった。
『今まで、僕を支えてくれてありがとうございます。僕が友達と笑いながら学校で過ごせたのも、兄さんが働いてくれたからです。それだけじゃなくて、僕が勉強してる時にごはんを作ってくれて、嬉しかったです。正直、兄さんのごはんが食べたくて勉強している時もありました。おばあちゃんが死んじゃった時も、兄さんが泣かないように頑張っているのを見たから、僕も笑わなくちゃと思いました。
 お弁当、いつもおいしそうで、友達と分け合いっこしてます。やっぱり兄さんのごはんが一番おいしいです。これからは僕も作りたいので、教えてください。』
これだけでも泣きそうだった。けれど追い討ちをかけるように、
『追伸』
『今まで支えてくれたこと、本当に感謝してます。高校に入ったら、僕も働きます。そしたら僕も少しは恩返し出来るかな。あと少しの時間、今までよりも頑張ります。これからは、二人で頑張ろうね。あと、誕生日祝い、何ヶ月も遅れてごめんなさい。勉強そっちのけで祝いたかったけど、怒られそうな気がしてやめました。』
……涙が止まらなかった。綾が死んだその時よりも、泣いた。
「恩返しなんか、いらないって言っただろ……誕生日祝われて怒る奴なんか、いるわけ、が……」

 気がついたら、目の前に少女がいた。
 必死にオレの手を引いて歩く少女。
「オレ、は」
「……!」
驚いたように赤いリボンが揺れる。
「……目が、覚めたの?」
透き通る灰色の目が、揺らぐ。
「ぁ……」
「ごめんなさい、何も聞かないで」
少女がオレに触れる。そこで記憶は一度閉じる。
 次に目が覚めた時、知らない少年と少女達がオレを見ていた。
そしてその隣に、不安そうな顔をした少女。
「……さっき、の」
「!良かった、大丈夫そうね」
「わぁい!またお兄ちゃんができたー!」
嬉しそうな水色髪の女の子と、安心したようなピンクの髪の女性。
 対照的な二人と、そばで嬉しそうに笑っている茶髪の痩せた女の子。そして。
 紫髪の少年。目を見張る。
「…りょ、う」
「!?」
「……なんで、りょうくんを知ってるの?」
茶髪の女の子が不思議そうにオレを見る。
 「綾……!」
思わず飛びついてしまう。綾、お前なら何も言わずにそのまま受け止めて――
 「…っ、やめろっ」
低い声で綾は叫び、オレを突き飛ばす。信じられなかった。

 暫くの間、オレはずっと彼を弟だと信じて疑わなかった。
 綾だと思って頭を撫で、綾だと思って話をした。
 そんなある日、いつものように話をしていた。
「それでな、あの時ばあちゃんが言ってただろ?えーと」
「……なあ」
「何だ?綾」
「いや……あいつに付き合ってあげてって言われたから合わせてたけど、やっぱそれがお前のためになるとは思えねぇ」
「ん?なんのこt」
「だから、“俺はお前の弟じゃねぇ”って言ってんだよ」
「……」
訳がわからなかった。だって、目の間にいるのは紛れもなく。
「違う、よほど似てるらしいけど、俺には兄なんかいない。家族と呼べる奴なんか理夢那くらいのもんだった」
「………ぇ」
「いいか、お前は死んだんだよ。俺も、理夢那も、ここにいる奴は例外なくそうだ。なのに弟なんかいるわけないだろう」
「……っ、死んだんなら、綾に会えるはずだ!」
そこからは覚えていない。ものすごい喧嘩をしたらしかった。
 気がつけば、二人ともベッドに寝かされ、傷だらけだった。
 オレは、隣で眠る少年の寝顔を見て、“もう弟はいないのだ”と自覚した。自然と涙がこぼれていた。起きた少年に慰められ、全てを話した。
「そうか。でもな、お前間違ってたぜ。その弟はお前のために頑張ってたんだよ。お前に笑ってほしくて、それがお前の幸せだと思って。なのにお前がそんなふうに死んだなんて知ったら傷つくだろうよ。良かったな、俺が弟じゃなくて」
そう、彼は言った。その時初めて、オレは最期の言葉の真意を知った。

 あれからどれほど時が過ぎただろう。あの時オレを連れてきた少女は影も形もない。だけど、あいつがオレ達を“ここ”へ連れてきたのは確かだ。
 その目的は全く知らない。だけど、暖かく包み込むようなこの4人と2匹が、オレにとっては綾のように大切な存在なのもまた確かな事実だったりする。

✱✱✱✱✱St.6 with 7へ続く✱✱✱✱✱

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St.4-「小さな雪のかけら」

 みんな、待って――。

 あの後、みんなはどうしたのかな。
 あたしはそれを知りません。
 幼稚園の頃は、みんな仲良くて楽しかった。
 小学校に上がっても楽しかったけど、卒業する少し前から変な感じがしました。
 さおりちゃんはあたしに、「りりはもうちょっと子どもじゃなくならないと」って言いました。
 よくわからなかったけど、さおりちゃんが選んでくれた服は今でもお気に入りです。
 修学旅行の少し前、「こういう服、着た方がいいよ」って選んでくれました。
 学校では話しかけても答えてくれなかったけど、メールは仲良くしてくれました。
 ……他の子は、ひどかった。
 私が来るのを待ち伏せてカバンをひったくって中身を全部バラバラのところに捨てたり。
 わからなくて教科書を見たらそのページだけ破られてたり。
 音楽室の机に彫刻刀で傷をつけて、私の仕業だと先生に言いつけたり。
 陰口ももちろんあったし、何をどうしても盗られるから仲良しのぬいぐるみストラップはお留守番だった。
 あることないこと作り上げて、それを先生に言うからあたしは「問題児」だった。
 なんどもお母さんが呼ばれて、なんども叱られたし、先生にさえ無視されたりもした。
 学校であたしと話してくれる人はひとりもいなかった。
 さおりちゃんも、みんなと一緒に無視して冷たかった。
 修学旅行の席ぎめも、みんなあたしを避けて、先生もしかたないなって感じであたしだけひとり。
 行った先も、グループ行動じゃなくて先生に連れて行かれるだけ。
 最後の日、先生がいなくなった時に、
「お前なんか置いてかれちゃえ!」
「それいい〜!あははは!」
ってみんなが笑ってて、さおりちゃんは――
「そうよ、あんたなんか置いてかれて二度と学校に来なきゃいいの」
と、冷たい顔で言ったのでした。
 そこからどうしたかは全く覚えていません。気がついたらソフトクリーム屋さんの前でした。おいしそうだなぁと思って、買って食べました。
 そうしたら誰かが来て、「私りりの味方だから」って言ってくれました。
 「さおりちゃん…!」
「…なんて言うと思った?さっさと消えろよクソガキが」
振り返ったあたしを、見たことのない怖い顔のさおりちゃんが、その影が覆いました。
 去って行くさおりちゃんは、「こんなもん食べてんの?あんたにそんなきれいな食べ方はいらないでしょ?」と、あたしのソフトクリームをひったくって、顔に思いきりぶつけた。
 「……!」
 酷い顔だったみたいで、あたりにはみんなの笑い声が響いていました。すぐそこで咲く、雪みたいなお花が目に残っています。
 『ごめんなさい、あんなことしてしまって、私はもうりりの友達でいられない』ってメールが来たのは、あたしが集合のアナウンスを聞いて駆け出した頃でした。
 すぐそこにバスはあるけど、本当に置いていかれたら、と焦っていました。
 だからメールを見ながら走りました。そしたら右から車が来て――。
 あとは知りません。さおりちゃんがどんな思いであのメールを送ったかも、みんながあたしが死んで喜んだのかも、お母さんがお父さんになんて言われたのかも。
 今はもう、知りません。

 でも、バスの運転手さんが何か怒ってた気がするなぁ。

 目が覚める。覚めました。りぃ姉がご飯を作ってる音。
「おはよー!」
「…おはよう、また嫌な夢を見たんでしょう」
「……なんでりぃ姉はわかるの?」
「ふふ、あなたがわかりやすいのよ。りゆも起きてこないところを見ると、きっと嫌な夢を見たのだろうから連れてきてあげて」
「…じゃあ、オレも」
「りくは混ぜるのを手伝って。私じゃ非力で混ざらないの」
「はいよっと」
 仲良くお話しするりぃ姉とりく兄を見ながら、りゆ姉のお部屋に向かう。そっとのぞく。
 ――いまにも泣きそうな、遠い場所を見るみたいな目。
 りょう兄に相談したら、「何も聞かないでやれ。あいつは向き合うために頑張ってる。だから、お前が元気に抱きつきでもしてやればこっちに戻ってくる」と言っていた。
 だから。
 「りっゆねぇええええーーーーー!!」
りゆ姉がびっくりした顔でこっちを見る。
「おはよおおおおおおおおおおおおおお!!!」
とびきり元気に抱きつく。
「…おは、よう、りり」
少し掠れた声と、りぃ姉が心配しちゃうくらい細い身体。
 りゆ姉だ。きっとまた照れてるんだ。
「ぃ、り」
「なに?」
「あつい」
「あ、ごめん」
「……」
無言で嬉しそうになでてくれる。
「大切な、いもうと」
途切れ途切れに口が動く。
「えへへ、大切なお姉ちゃん!」
「…ふふ」
「…えへへ」
声が重なる。ふたりでリビングに行く。りぃ姉とりく兄がこっちを振り返る。りょう兄は、あくびをしながらいつも通りレイをいじくる。
 りゆ姉と目が合う。今日は週に一回の“ご機嫌タイム”。
((せーの))
心の中で声が重なって、
「「おはよう、りぃ姉〜〜〜〜!!!」」
「うふふ、元気ね。お皿を運んできてもらえるかしら」
いっぱいの笑顔でりぃ姉が笑う。
 笑顔を交わしてお皿を取りに行く。
「りょうーー!オレもお前が」
「るっせぇ」
「ごふッ!ひどくないか!!」
「あーはいはいわかったわかったオレもりくのことが好きですよこれでいいか」
「棒読み!!!」
そんな声が後ろで聞こえて、今日も始まります。

 「りょうくん、本当はりく兄のことすっごく信じてるしわたし達のこともだいすきなんだよ」
小声でりゆ姉が言う。
「おい理夢那、今お前――」
「りぃ姉、お皿ってこれ?」
「うーんとねぇ、もう少し底が深いものがいいわ」
「「はーい!!」」

✱✱✱✱✱St.5へ続く✱✱✱✱✱

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どうするべきだったかな

おはようございます。

昨日の夜からイライラを引きずっているかのんです。
悪く言いたいわけでもないし、責める気もないんだけど…。
要点だけ聞かせろ?記事の一番下までスクロールしとけ。


配信って楽しいですよね。
私も中3だから4年くらい前かなぁ、ツイキャスで友達と盛り上がったものでした。
で、まあ今の話ですが。
んー、どこからにするべきかな。
彼氏さんが配信やるって言ってたので、「楽しいしいいんじゃないかな〜」と思ってました。というか今もいいと思ってるんだけど。
一緒に所謂協力バトルみたいな、そういったものをやる時は連携が大切なので通話を繋げたままでいて欲しいんですけど…。
特に一緒にやっているわけでもないのに延々話しながらゲームしてるのを聞かされて寝られないのは勘弁して欲しいかな、と。ちなみにその時夜0時過ぎ。そのくらいまでは「楽しそうで何よりだな〜」なんて聴いていたんですけどね。
だいぶソフトに言うように頑張っていますけど、その時は話しかけても返事ないし、煩くて(スマホの最低音量でも通話音が大きいのでどうしようもないです)寝られないし。中座してずっと読み切れていない本を読みに行って、戻ってきても終わる気配はないし。
ふざけんなよ、じゃないですけど「寝かせろよ…」とか、「どんだけ配信好きなんだよ…わかるけどなんで通話繋げたままなの…」とか言ってました。雑音が入ったら煩いだろうと思って途中からミュートしてたので全く聞こえていないと思いますけどね。
それに「後でやろっか」と約束していたのも忘れてるみたいだったし。

そりゃ拗ねるでしょ。

配信やめろってことじゃなくて、楽しそうだし続けて欲しいけど、やる時は通話切っておいてよねって話です。
自分で切れば、って思うかもしれないけど、そんな返事が来なくて聞いているかもわからない時に「切っていい?」なんて言えるわけないし、「煩いから切る」なんて言ったらテンション下がるでしょ?かと言ってLINEで送ったらキャプチャしている以上こちらの名前が通知で出るし、音ゲーやってるみたいだったから邪魔になるだろうし。いきなり切っても後で「何で?」ってなるでしょ、そこでこの説明をしたら絶対面倒なことになるじゃない。そんなのごめんだわ。まあこれを読まれていても面倒なことになるけどね。
それで終わってから言おうと思って待ってたんですけど、終わったのは1時過ぎ。
眠いわ!!!
それになんかカタカタやってて言える状況じゃないし普通に寝ました。
イライラしながらね。寝言とか寝ぼけで罵詈雑言言われてたらごめんね!!普段抑えてるだけで人よりもイライラ募る人間だから!!!!

私以外の人と話すのが嫌とかそう言うわけじゃないし、私以外に時間を使わないでってわけでもないです。
だってそんなの自由でしょ。私には全く関係のない場所での交流だってあって当然よ、人だもの。
そういうことじゃなくって、ただ配信するなら通話を切って欲しいだけ。貴方の声が煩いんじゃなくて私のスマホの設定がいけないんだけど、寝られないの。寝かせてくれないかしら。私だって年中寝てて平気なわけじゃないの。バイトだってあるし、終われば学校があって、休みの日だってやりたいことくらいある。
あとあの約束なんだったのよ。ちょっと楽しみにしていたのが馬鹿みたいじゃない。

せめて終わった後に「煩くてごめんね」じゃないけど、「待たせてごめんね」くらいあったら許そうかな、なんて思ってたけど今思えば見当違いね。好きで聞いてたんだと思っているでしょうし。
だとしたらお門違いね。ただ気を遣って切れなかっただけ。
「ちゃんと聞いてるから大丈夫」なんて言われたってそんなのこっちがわかると思ってるの?
知らないわよ。返事がなければ聞こえていないとみなすでしょう?貴方だって私がぼーっとして返事しなかったら寝てるんだと思うみたいにね。
あと「何かやってても話しかけていい」とか言われたって、集中している時に話しかけたら悪いじゃない。何をしているのかもわからない状況でそんな難しすぎる判断できません。<難しすぎるんだよー!(ウェイバーくん)

私をそんなすごいものだと思っているなら大間違いだからね。
第一そこまで読み取れるなら心理学をやりたいだなんて言わないわよ!!わからないからやりたいの!!

寝る間際に面倒なことになるのも嫌だったから黙って寝ましたけど、これを言わないとずっとこのままでしょう?
察して、って言われて私が察せないのに同じことを言っても意味がないし書きました。
正直、通話してるのにずーーーっと放置されたままなのも寂しかったけど、それ以上に煩くて寝られなかったのが嫌でした。
通話してない時に「放ったらかさないで」なんて言いませんから。それは貴方の時間でしょう。
その時に何をするかは自由です。浮気なんかしようものなら知らないうちに私は消えますけどね☆
ただ通話してるんだったら疎外感があると思わせないでよ。寂しいじゃない…。ってうさぎかよ、そういえばうさぎ年でした。
あと寝かせて。私は貴方と違って少しの睡眠だけじゃふらふらのよれよれになっちゃいます。

泣いちゃうんだからね!(泣けるとは言っていない)


これで「ごめん切るの忘れてた」ってオチだったらかなり秀逸なコントですけどね(笑)
流石にそうだったら「沖田さん大勝利ー!ええ、体の方は大丈夫ですとm…こふっ」とか言って終わらせるしかないですね。
そうじゃなくても一つだけ結論。
「配信するなら通話切ってくれー!疎外感あって寂しい上に寝られないよ!」
以上です!!

こんなこと言ってたらバイトに行かなきゃならない時間です!!やだーーー!!!!!ねたいーーー!!!眠いのーーーーーーー!!!!!!!ああああああああああああああああああああんたらかしこみなさいよーーーーーーーーー!!!!!!…あ、それ違っちゃいました?
さてそろそろ怒りも引っ込んできたので行ってきますかね。蒸し返すようなことをされないように祈りつつ。

St.3-「桜色の時」

 私は17歳で死んだ。幸せな人生だったと思います。
 私が大好きな桜の花のアロマが舞う、小さい時からお気に入りのベッドの上で、愛しい婚約者に手を握られて。
 私は目を閉じたの。さようなら、有難う。貴方が桜の香りを毎日運んでくれたこと、知っています。命は尽きても、貴方への感謝と、愛おしさと、贖罪の想いは忘れないわ。
 ――何も思い出せないままで、ごめんなさい。

 目を覚ます。まだみんなが寝静まっている明星の時に目を覚ますのは、私が死ぬ前の習慣が関係していて。
 私は、気がついたら死の宣告を下された後だった。その前のことは何一つ覚えていなかった。死んでしまう最期の刹那になって、泣きじゃくる貴方の顔が見えて、やっと思い出したの。

 小さい時から、たくさんのことをした。
 お料理、洗濯、お掃除、書架の整理、お花のアレンジメント、楽器。
 お勉強も頑張ったし、所作だって元華族の令嬢なのだから、と淑女になるために身につけた。今思えばすべてが懐かしい。
 一番好きだったのは、お紅茶。たくさん種類があって、素敵な香りもたくさんあった。
 そんな私に、桜の香りを差し出してくれたのよね、貴方は。
 『貴女をイメージして創りました!』だなんて言われたら、恋なんてものを知らない私は惹きこまれてしまうわ。
 彼はハーブティーを作るのが趣味なのだと、貴女の好きな紅茶とは少し違いますけど、と私に語った。お花を愛でることも好きなのだと、私のアレンジメントを嬉しそうに眺めた。
 寒くなってきましたね、と差し出された暖かいチョコレートは美味しくて、「ココア」というのだと教えてくれたそれは、今となっては悲しくて、好きなのに口にできなくなってしまった。
 心惹かれた彼が、両親の決めた婚約者だと聞いたときは、嬉しくて堪らなかった。
 それから5年間、デートは必ずお花畑。春は二人でお花見。高台から二人で眺めた桜道は怖くて、貴方に抱き寄せられながら目を細めた。
 そして私が17歳になって、あと1年で結婚するんだね、と準備を始めた矢先、私は倒れた。
 病名は知らない。家族と彼は、そんな苦しみを私に背負わせたくないと隠した。だけど私はわかってしまった。だって、準備を進めるフリをしながら、本当は何も進んでいないって知っていたもの。私の命の期限が、あと1年もないことくらい、わかってしまった。
 私は苦しかった。今までずっと幸せの中にいて、これからも続くのだと信じていたから。淑女らしくもない泣き方をして、目が覚めたら何もかも忘れていた。
 貴方は驚いて、「嘘だろ? 」と私に訊いた。けれど、何度訊いても答えが変わらないと知って、絶望の顔色をした。記憶のない私は、それを見て自分を責めた。
 そのせいか、私の病状は急激に悪化していった。数日もしないうちに寝たきりになって、それから話せなくなって、聞こえなくなって、そして最後に見えなくなって、終わった。
 だけどその間、彼はずっと私に桜の香りをくれた。最期の時には、泣きじゃくるその手に桜の枝。
 私はその香りに心を安らがせながら、最期に貴方を見て、思い出した。
 そして、強く願った。
 『まだ、死にたくない』と。
 そうして目が覚めたところにいたのは、紫髪の男の子と、茶髪の女の子。
 不思議そうに私を眺めていた。
 それから2人が幼馴染で、それぞれ死んでしまってから“此処”へ来たことを知った。
 私も死んだのね、と少し残念な気がした。もう貴方には逢えないのね、と。
 そこから先は、涼和の絵を見てアドバイスしてみたら全く違う彩色が生まれたり、理夢那に好きだった曲を歌って聴かせたら歌えるようになっていたり。“あの子”――今はもう居場所もわからない不思議な女の子のことなのだけど――がたくさんの楽器がある部屋を見つけて来てからは、4人で音楽を奏でて遊んだり。
 とっても楽しくて、それから同じような“仲間”が増えてからは、りくが音痴だと責められたり、レイとルナがふざけて全部「にゃー」で通したり、はしゃいだりりがグロッケンを壊しそうになったり。どたばたしているけれど、こんな楽しい過ごし方があるなんて、と発見したのでした。

 明け方に目を覚まして、『どうか私が死んでからは、私を忘れてくれますように』とこっそり願う日々は苦しくて。だけれど、貴方が「だいじょうぶ」と微笑んでくれると、少し安心したものだったわ。
 今はもう、私が記憶を取り戻したことも、贖罪の想いを抱えたままだということも、もう一度逢えたなら、と思うことも、何も届かないけれど。
 もしも今のこの場所が、生まれ変われるための準備をする場所だとするならば。
 どうか貴方のことも、今周りにいるこの子達のことも忘れることなく生まれ変わって、みんなで出逢いたいと、そう願うのです。

✱✱✱✱✱St.4へ続く✱✱✱✱✱

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一難去って何とやら!(笑)

おはようございます、お昼にご覧の方はこんにちは、夕方にご覧の方はグッドイブニング!夜にご覧の方はこんばんは!

挨拶ってたくさんありますね!!今更だけど☆

以前「服のサイズが合わない!」と激おこ(どちらかと言えばサイズが合うものは好みからずれているって話でしたね)だったんですがちょっと解決しました。

高いのであんまり買えないですが、もう冬前最後のお買い物のつもり(どうせ秋も暑いだろうからという腹づもり)で買ったアクシーズ(正確には『axes femme』)というブランドの新作ワンピース!
レースの襟にフロントレースアップ、更にはカメオまでついてくると…私の好みてんこ盛りですねはい。とってもてんこ盛り。
値段は前に買ったお洋服の1.2倍くらいかな…ちゃんと計算していないけどお高めです。
身幅から計算(2倍するとおおよそのバストサイズが割り出せます)してだいたいバストが92〜93くらい。
以前着られないよ!!と言っていた服が85ちょっとなのでなんとか入らないかなっという気持ちで買った(レターパックを使えば360円で返品できるからね)わけですが、ちょっときついかなーくらいで入っちゃいましたー!

わーん神かよー!と思いながら一緒に買ったまた襟が可愛い上にレースアップのサックスブルーのブラウスも一見「うわー…きつそうだなぁ」なんて思ったけどちゃんと入っちゃいました。ウエスト痩せてきててよかった。そうじゃなかったら入らなかった💧まだ痩せる前(ダイエットを始める前って言った方が語弊はないかしら)の感覚で生きてるからなー。ちゃんと48まで落ちてもそう思ってそうだなー。

それから返品不可(セール品なので当然)のバックシャン(背中側にデザインがある服のことかなーと思っているけど詳しくは知らないです)で後ろにレースアップがある(レースアップ大好きなんですw)パーカーも、色がイエローなのでキツい色かなーと不安があったのですが綺麗なアイボリーという感じで想像通り!前が閉まらなくても良いかなーと思っていたのですがちゃんと閉まりました!しかも余裕がある…。予想外すぎてどうしていいか(笑)

一番驚きはこのブランドはワンサイズで、「M」しかないんです。
今バストが一番ネックな私はダイエットを始めてからもLL、良くてLしか入らない(始める前と変わっていませんね!!!)という地獄絵図でしたが、Mと定義されている服が入ったとなるとちょっと嬉しいですね。ほんのりモチベーションアップです。
あとは一時期25.0じゃないとスニーカーが入らなかったりしたのですが、今は24.5のサンダルがちょっと緩いくらいです。
着実にサイズダウンしてるかな…?前は90↑だったズボンの腰回りも、今は71のゴム入りスカートが入るくらいなので、行って80くらい。たぶんもう少し小さいはず…だと……思うんですけど…。

胸が入らないー!って騒ぐのを減らしたいので、絶賛背中痩せ狙い中です。あとは腕とデコルテだっけ、首周り?
ダンスもやりたいのですが体力が無くって💦既に夏バテモードです…。


とまあ嬉しいことがありまして。

で、今度はまた困った話です。
昨日気付いたのですが、右腕に変な赤い腫れがありまして💦
写真を撮るのに失敗したので(いつもうまく撮れません(´;ω;`))、大まかな特徴だけ。
できているのは肘から少し下の内側、楕円形(卵形っぽいかも)に赤くなっていて、触れば気付くくらいの腫れです。触らなければ腫れている感じはしません。
少し熱を持っています。あとは痒いです…。他の場所には同じような赤みや腫れはありません。
これだけで申し訳ないですが、「それってもしかしたら」という方は教えていただければ幸いです💦


最近は姉と時折言語のお話をするのが楽しみです。言葉の美しさに気付けたら、私の世界の色彩もまた変わりそうな気がして……!
今はドイツ語の話が主流ですが、中でも『Schwarzer Regen』というミクちゃんの曲について話したりしています。
私の周りで言葉について知識が深くて、他のお話にも繋げられて、尚且つ私のちょっとずれた疑問も一緒に考えてくれるのは姉くらいなので^^;
だいたい「何言ってるの?」しか言われないので…ずれているのは承知の上なのでしょうがないかなっと軽く流していますけどね(笑)
言われるのがわかりきっているので言わないことも多々あります。というか7割はそんな感じで仕舞い込んでいるかも。


そういえばそろそろりゆのお誕生日ですね♪イラスト、描けたらいいな〜。
ではでは、今度こそ梨伊花のストーリーで!
アラフォア・プロシェン♬

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みづき かのん

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